奪い去るための日々なんて要らない。
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この小説には15歳未満の方には有害と思われる表現が含まれています。肉体・精神年齢が15歳に達しない方のご閲覧はお控えください。
また、閲覧したことで何らかの被害を蒙ったとしても、長月は一切の責任を負わないこととします。
お読みになられる方は下記の追記からどうぞ。
また、閲覧したことで何らかの被害を蒙ったとしても、長月は一切の責任を負わないこととします。
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貪欲な殺意
アイツを殺した後のあたしに、何が残るだろうか。
「後」のことなんて、少しも考えていなかった。
殺してしまいたい。
そんな感情は日毎に大きくなっている。そう思っていた。だが実際には、日毎という積み重ねではなく、単なる感情の繰り返しに過ぎなかった。
殺してやる。
そんな感情に発展したのは、無理もなかった。
連日続く暴力の数々。時折、全てを忘れたかのように見せる笑顔。家の外での卑屈さ。
全てに苛立った。殴られるのを我慢する内に、何度も殴られた背中の一部が硬くなっていることに気がついた。同じ箇所を繰り返し殴られた所為で、皮膚が厚くなったらしい。それも、醜く黒ずんで。
数年前に折られた左手の中指は、少し右に拉げて骨がくっついていた。自然に任せたままで、固定しておかなかった所為だ。それでも、自分なりに真っ直ぐに戻そうと、痛みを我慢して元の位置に戻したのだ。それなのに、第二関節の少し上にもう一つ新たな関節のような節ができ、指は以前よりも少し太くなっていた。
煙草の火を押しつけられた太腿の焼け焦げた跡は、長年付き合っていた安らぎともいえた恋人を奪い去った。彼だけが、暴力を受けるあたしを慰めてくれていた。
「僕が守ってあげられたら」
そう言って彼はいつもあたしを抱いた。傷跡をいとおしむように指でなぞり、舌で愛撫した。あたしはその感触のくすぐったさに身を捩り、同時に幸せを感じていた。あたしには彼が居る。アイツのことを忘れられる唯一の時間が、彼と過ごす時間だった。
太腿に火傷を負った次の日のことだった。
「僕が、君のお父さんに話をするよ。一緒に暮らそう」
突拍子のない彼の言葉に、あたしは戸惑いを感じた。本気なのか、と。からかっているのではないのか、と。
約束の日、彼はあたしとアイツの住む家へやってきて、アイツに頭を下げた。
「***さんと結婚させてください」
アイツは腕を組み、蔑むような目をした後、彼の肩を思い切り蹴飛ばした。それからは酷かった。彼を蹴りつけ、殴りつけ、骨の折れる音が鳴り続けた。彼が動けなくなると、アイツはあたしの髪を掴んで、隣室へと連れて行き、この体を辱めた。彼が隣で苦しんでいるというのに、アイツは気にも留めずにあたしの足を掴んでは腰を動かした。その粗末な運動を終えると、アイツはあたしから出て行き、高鼾で眠り始めた。
あたしは鉛のようになった体で、彼の元へ這い蹲って行った。動く度にアイツの体液が腿を伝うのを感じた。
「大丈夫?」
何度声をかけても、何度名前を呼んでも、彼は二度と目を覚まさなかった。ぴくりとも動かないその体に縋って、あたしは泣いた。声を殺して泣き続けた。
そして、彼の体を切り刻んだ。そのまま家に置いておけば、アイツが目を覚ました時に再び彼をいたぶるのは目に見えていた。それだけは許せなかった。
頭と四肢を切断し、胴体部は先ず腹を包丁で割いて内臓を取り出してビニール袋に入れてから、六つに切り分けた。四肢も関節で切り離し、袋に入れた。
作業は直ぐには終わらなかった何時間もかけて、やっと終わった。体には彼の血と、脂がたっぷりついていて、まるで彼に抱きしめられているようだった。あたたかくて、やわらかかった。
それから、アイツが目を覚まさない内に服を着替えて、彼のパーツ全てを車まで運び出した。本当はシャワーを浴びたかったが、アイツが確実に目を覚ますため、それはできなかった。
隣の市まで車を走らせ、山へと辿り着いた。トランクの中から、彼を取り出し、少しずつ運び出していく。車に一緒に積んでおいたスコップで土を掘り返し、丁寧に埋葬していった。湿気を帯びた土の香りが強かった。
全ての土を被せ終えた後、汗を拭い落とした。車に戻り、一息ついていた。
手の中には彼がくれた指輪があった。婚約指輪。あたしには勿体無いほどの高価なそれは、彼の体液がついていた。そのまま左手の薬指にはめ、ハンドルを握って家へと戻った。
家に着くと、アイツは不機嫌そうな顔であたしを出迎えた。
玄関に入るなり、また髪を掴まれて部屋の中央へ放り出された。
「今まで何処へ行っていたんだ」
数時間前に彼にした行為すら忘れたアイツは、今更父親ぶってあたしを心配していたふりをする。
「お父さんは心配してたんだぞ」
「お父さん」ああ。そうか。コイツにも未だ自分があたしの父親であるという自覚が残っていたのか。父親であると覚えていながら、その娘を嬲り、犯すのか。
「ごめんなさい。お父さん」
あたしが、しおらしい顔で謝ると、アイツは途端に顔を崩してあたしにいやらしく微笑みかけた。あたしの前にしゃがみ込んで、腿を撫でる。
「謝ることはない。分かるだろう」
アイツはあたしのスカートを捲り、尻を撫で、陰部に指を沿わす。締まりのないだらしない顔で、あたしの首筋に分厚い唇を押しつけ、吸い上げる。カーディガンの上から胸を掴み、撫で回した。息が荒いのが伝わる。鳥肌が立つ。股間の膨らみを押しつけられる。嫌悪感に震えた。
「***ちゃん、パパのお*ん*ん、舐めて」
ファスナーを下ろして、貧相なそれを取り出すと、あたしの顔に近づけた。嫌な臭いがし、吐き気がした。
「良い子だ」
目を瞑り、それを口に含んで、必死で舌を這わす。しかし、途中から頭を掴まれ、無理矢理腰を打ちつけられた。アイツの性器は小さいため、咽喉を塞ぐほどではなかったが、楽なものではなかった。陰毛が頬をざわざわと撫でる感覚は最低だった。
絶頂が近くなったのか、アイツはあたしの口からそれを取り出すと、顔の前で扱き始める。顔にかけるのか。そう思うと気が遠くなりそうになった。目を閉じて、その時をじっと待つ。数秒後、生温い液体が頬を伝った。
注意深く、瞼の上の精液を指で拭い去り、目を抉じ開けようとしている間にも、アイツはあたしの体を辱めるのをやめなかった。股間に顔を下ろして、頻りにあたしの陰部を舐めていた。ぴちゃりぴちゃりと音がし、時折舌が入ってくるのが分かった。あたしは、目を開けられるようになっても、その様を見たくなくて顔を背けていた。
アイツが離れる気配があって、顔を戻すと、男は胡坐をかいて、再び貧弱な性器を扱き始めた。これは合図だった。あたしがアイツの上に馬乗りになって、自ら体を貫くように促す合図だった。
「もう、良いよ」
アイツが鼻息を荒くして言い、あたしはのろのろと体を動かす。男の顔の前で陰部をちらつかせた後、ゆっくりと腰を下ろしていった。アイツは自分の性器を見つめながら、あたしでそれが隠れるのを待っていた。
体内にアイツが入って来る度に、頭痛がした。繋がったその部分から腐ってしまうのではないかと思った。
汚らしい音を立てるそこへアイツは出入りしながら、あたしの乳房に吸いついていた。興奮するアイツを見下しながら、あたしは冷めていた。
「イク」
アイツはもごもごと口の中で呟いて、あたしの中に吐き出した。
あたしは、疲れていた。そのまま後ろに倒れ、意識を失った。ただ、体が小刻みに揺れていたのを覚えている。あたしが気絶した後も、アイツはあたしを犯し続けたのだろう。
殺してやる。
その感情は唐突に訪れた。
裸のまま畳の上に寝かされていたあたしは、膣からアイツの精液が流れ出てくるのを感じて、目覚めた。相変わらず酷い頭痛がし、体の所々が痛かった。
アイツは、居ない。何処かへ行ったのだろうか。
部屋を見渡し、カーディガンとスカートを身につけた。下着は汚れていた。
隣室に下着を探しに行った時、あたしは思わずよろめいた。
「嘘」
男が、醜く出っ張った腹を曝け出して、布団に横たわっていた。その首には布が巻きつき、腹は赤黒く染まっていた。
アイツが虚ろな目で宙を見ていた。否、もう何も見ていなかった。
両手に蘇る布の感触。体に蘇る、痙攣する体を押さえつける感覚。
あたしが殺した。
でも、良く覚えていなかった。
アイツを殺した実感がなかった。
それなのに、アイツはあたしの目の前で死んでいる。二度はない。
アイツを殺しても、あたしは何も変わらなかった。
死んだように生き、いつか彼の元へ行けるように、養子に引き取った男の子を育てながら、虐待していた。
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